豊平峡リムトンネル 日本茶貯蔵実証実験 『水の守人熟成茶』

北海道は温暖な気候を好む茶の生産北限(茨城・新潟)をはるかに超えている為、茶樹の生育は私の自宅の庭で栽培した露地物を摘み採り、数グラムの北海道産茶(味は薄いものの独特の甘みが特徴)に仕上げてセレモニーとして飲むのが精一杯ですが、冷涼なこの環境は長期熟成には大変向いております。

茶の熟成とは、味をまろやかに、深みを出すため、蔵など静寂で環境変化の少ない場所で寝かせる古来からの技法ですが、繊細な技術が必要なうえに高価な茶が対象であり、したがって大量販売の時代には全く向かないことから、今では全国でもごく限られた専門店でしか継承されておりません。当社は祖父が京都で熟成と茶の技術を学んで創業し、北海道の気候特性を生かして様々な熟成茶を少しずつ組み合わせながら玉翠園の味として広めたこともあり、現在でも熟成茶の製造販売に力をいれております。

時の経つのは早いもので、祖父から直伝してもらったこの熟成の技を、次の世代に繋ぐのが今の私の仕事となりました。そんな中、こうしたことを長年手掛けていることを聞き及ばれたのか、この度国土交通省さんからお声をかけていただき、札幌市南区豊平峡の厚い岩盤を堀削し作ったリムトンネル内での日本茶熟成の実証実験をすることとなりました。

札幌の水瓶でもある豊平峡は自然の峡谷を生かしたダム湖で、深い森林に囲まれた景勝地です。この地での熟成検証は、当社にとって熟成のノウハウに新たなデータを織り込む興味深さに加えて、日本茶専門店として極めて意味深いものがあります。

リムトンネル:ダム建設時にダム脇の岩盤クラウチン施工のため堀削したトンネル

というのも、日本茶を飲むとき、その実に99%が水だからです。家庭の蛇口を捻るだけで、ボトリングウォーターとして販売できるほど高品質の水がいただけるからこそ、北海道で淹れる茶は、素材の味を完璧に引き出すことができるのです。だからこそ、水源である森を守る=「水の守人」であれ、というのが祖父の代からの家訓となっておりました。ですから、日本茶専門店の私は、一見畑違いのエゾシカ関係の商品開発からエゾシカ関連の講師までさせていただいているわけです。

 当店の日本茶を託させていただく北海道開発局豊平峡ダム職員の皆様も日夜厳しい自然環境のなか、札幌の水源をしっかりと守ってくれている、まさに「水の守人」です。彼らとともにこの事業をさせていただくことを同じ志を持つ者として誇りに思い、弊社の熟成茶シリーズを「水の守人」と命名しました。

G7(主要7か国)・エネルギー・環境大臣会合のレセプションで採用されました

2023年4月15日に北海道札幌市で行われたG7(主要7か国)・エネルギー・環境大臣会合のレセプションで当店のオリジナル緑茶で北海道熟成「水の守人 ジャパン・ルビー」が採用され各国要人に振る舞われました。この話題はNHKニュースでも取り上げられました。

【NHKニュース】G7のレセプションに冷房使わず低温熟成させた“赤いお茶”

このお茶は真っ赤に抽出されるアントシアニンを多く含んだサンルージュ品種と北海道産ミント等をブレンドしたお茶です。これを札幌市の水瓶である南区の豊平峡のトンネル等で熟成をかけまろやかでさっぱりした苦味のあるフルーティーに仕上げたお茶です。

肉料理等に最適で、食事の際にお酒が飲めない方などにはワインの代わりにもなる緑茶です。深紅の赤は緑茶の概念を変えるかもしれません。

販売価格は7ティーバッグ入りで一袋1,080円(税込)です(本店及びネットショップ玉翠園でお買い求め出来ます)

北海道新聞さん 2016年4月10日朝刊に掲載されました

玉翠園 水の守人熟成茶 イメージキャラクター

ダム湖とリムトンネルを視察させていただいた日に、景色のスケッチを描きながら豊平峡の水の女神さまをイメージしてしまいました。日本の名だたる産地から取り寄せましたお茶を懐深くにお預けします。どうか美味しく時を重ねさせてください。

『水の守人熟成茶』について 〜今後の予定~

2016年5月25日に豊平峡ダムトンネル内に搬入しました宇治・静岡・八女・知覧の各産地・品種茶は、年間を通じ10度前後の低温で静かな環境で安定した熟成を続けております。

ご報告

全国から多数の優良茶が集まる品評会、日本茶AWARD (農林水産省後援)に北海道熟成ブレンド茶「水の守人」として出品したところ、「旨いお茶部門」で「ファインプロダクツ賞」を北海道からの茶出品で初めて受賞するという栄誉を授かりました。一部の茶が、寝かせることで単に旨味が増すことは知られていますが、同時にせっかくの持ち味が失われ劣化する部分もあります。

それらを計算して組み合わせ、最終的に茶の長所にまで変えるのが、熟成の技です。
創業以来のこの技術が、受賞により「全国レベルの客観的評価」を得られたことに加え、「水の守人」というネーミングによって国のインフラ二次活用におけるダム管理職員の皆様と、また豊平峡の位置する南区定山渓の地域の皆様との一体感をもって事業に取り組めますことが、当店の喜びと感じております。


商品化といたしましては、急須用の茶葉やティーパックはもちろん、各期、各グレードの「水の守人」を店頭にて提供しており、さらには粉抹化として当店で人気の雪萌えパフェ抹茶アイスクリームに使用しております。


2019年1月からは、「水の守人」熟成茶をふんだんに練り込んだ羊羹を開発し、店頭にて好評発売中です。最近の羊羹は、植物油やでんぷん、乳化剤など様々な添加物を加えたものが多くなっていますが、酸化防止の為のビタミンE以外は使用せず、可能な限り伝統的な羊羹の製法により、茶の味と色がしっかりと楽しめる羊羹としました。

使用する茶の熟度はその年ごとに異なりますが、毎年のビンテージを楽しんで頂ける濃茶羊羹として、ご好評頂いております。
「水の守人」濃茶羊羹は観光に来られた国内外の方はもちろん、地元北海道のお客様にも、地域自慢のお茶として自家用、贈答用にさまざまなかたちで、また、アウトドアや災害時の疲労回復携行食としての活用も期待されます。

さらに2020年からは一緒に実験させていただいております「八剣山キッチン&マルシェ」様の開店により「熟成茶水の守人」商品を納品させていただいており、当店からも一般のご来店のお客様にもご案内するなど可能な連帯をさせていただいております。

cake&colletさんの札幌三越限定クリスマスケーキ「雪夜の茶会」にご使用いただき、コロナ禍のクリスマスにも関わらず予約完売させて頂きました。


北海道だからこそ守り、磨き上げることができた日本茶熟成技法に、豊平峡というファクターが加わった「ONLY ONE HOKKAIDO」は毎年の味わいを生かしながらこれからも進化発展していく予定でおります。

〈新製品〉北海道熟成茶 水の守人シリーズ
        JAPAN RUBYジャパンルビー

北の茶問屋玉翠園が新しいブレンド茶を開発いたしました

煎茶サンルージュは、ブルーベリーなどでもよく知られるアントシアニンという抗酸化ポリフェノール色素を大量に含む珍しい日本茶品種です。急須で淹れると紫のあずき色に煎出され、ここにレモン等の酸を加えると、きれいな赤に変化します。

日本の南、鹿児島県徳之島で栽培されたこのサンルージュを、北海道の豊平峡と円山で低温長期熟成し、まろやかに角が取れたところに酸味のある数種のハーブとブレンドすることで、湯を注ぐだけで、艶やかな美しい深紅のルビー色に自動変化!する新たなフレーバーティーを創造しました。

風味は従来の日本茶からは想像できないもので、北海道産のミントを含むハーブの優しい甘みと爽快感に加え、茶カテキンとアントシアニンが飲んだ後口の良さを演出、美しい色合いを見るだけでも癒されますが、新感覚のフルーティーともいえる優しい味わいは疲れを感じたとき飲んでいただきたい逸品となっています。

ホットでもアイスでも楽しめますし、心地よい酸味としても楽しめるビタミンが多く含まれるおかげで時間による劣化も緩やかですので、スイーツ作り等、料理の世界にも応用できるでしょう。

40年以上茶の木を寒冷地露地栽培しておりますが、人工的な環境を加えない限り茶産地並みの美味しさには、残念ながらたどり着けていません。その代わり、北海道だからこそ可能となった長期熟成と日本中のあらゆる品種茶の可能性を取り入れたブレンド技術の融合こそ弊社の本懐と考えています。

今回も、日本の南と北のコラボで完成しました、深紅の結晶、オールジャパンの茶として名付けたJAPAN RUBYジャパンルビー
誰もが使いやすいティーバックタイプでの販売としておりますのでお気軽にお楽しみください